2023.11.29

地域の食文化を大切に守りながら、ユニークな食の提案にも挑戦!

明治時代から愛媛県東予地方の特産品として長年親しまれている「えびちくわ」。瀬戸内の小えびや白身魚のすり身、そして自家製の豆腐を原料にした風味豊かなフワフワ食感のちくわです。また、独特のやわらかな桜色は縁起物として贈答品でも喜ばれます。そんな「えびちくわ」を作り続ける有限会社青木蒲鉾店 代表取締役社長 青木 真理(あおき まり)さんに、瀬戸内の練り物づくりにかける思いを語っていいただきました。

2023年9月22日(金)放送 「『22_Ehime』モノ・がたり」より抜粋
聞き手 南海放送ラジオ「Tips」プレゼンター 寺尾英子

今回お話を聞いた方
有限会社青木蒲鉾店 代表取締役社長
青木 真理さん
Mari Aoki
青木蒲鉾店は昭和25年の創業以来、新鮮な瀬戸内の魚介を使い、この地方の特産品であるえびちくわや数十種類の手作りてんぷら、また季節によって変わるオリジナル商品を自社工場で製造し全国へ発送している。
青木蒲鉾店は昭和25年の創業以来、新鮮な瀬戸内の魚介を使い、この地方の特産品であるえびちくわや数十種類の手作りてんぷら、また季節によって変わるオリジナル商品を自社工場で製造し全国へ発送している。
寺尾  「青木蒲鉾店さんのえびちくわ、きたー!」という感じですが、私も四国中央市出身ですので、子どもの頃は冷蔵庫の中に必ずピンク色のちくわが入っていましたし、よく食べていました。だから松山に住み始めたときに、友人から「えびちくわって珍しい」と言われてびっくりしたのですよ。

青木  そうですね。えびちくわは東予地方独特のものだと思います。

寺尾  地元では当たり前なのですが、かつて全国放送で紹介した際にも「えー!えびがちくわになるの?」という視聴者からの反応もありましたので、改めて「えびちくわ」をご紹介してください。

青木  えびちくわは、明治時代から愛媛県の東予から香川県の西讃(せいさん)にわたって特産品として作られているもので、じゃこえびやあかえびと呼ばれる瀬戸内海で獲れる小えびを殻ごとミンチにしたものと白身魚のすり身、それから自家製の豆腐を原料にしています。
寺尾  愛媛に練り物は様々ありますが、他とは違った食べ応えがありますよね。そのまま食べても美味しいし、炙ると食感も変わって香ばしさがあります。また、おみそ汁に入れるとえびちくわからいい出汁が出てお味噌の美味しさとの相乗効果がありますね。

青木  原料にお豆腐が入っていることで独特な味わいと食感が出ますし、えびを殻ごとミンチにして入れていますので、炙るとえび特有の香ばしさが出てきます。

寺尾  それでは『22_Ehime』に出品されている2品を紹介します。1つ目は、「えびちくわバラエティセット」送料・税込みで4,500円。
2種類のえびちくわやじゃこ天など10種類の商品が入っていて、エビはもちろん、鯛やタコといった瀬戸内のいろいろな味を様々な練り物で楽しむことができますよね。
青木  はい。昔はえびちくわだけ作っていましたが、お客様の様々な声を聞きながら商品開発をしていると、どんどん種類も増えていきました。そこで、ご進物としてお客様に多くの種類を食べていただきたいと思い、いろいろな練り物の詰め合わせを作っています。

寺尾  そして2つ目は「昔ながらのえびちくわ詰め合わせセット」送料・税込みで5,500円。
こちらも13種類の商品を詰め合わせたもので、えびちくわやじゃこ天はもちろん、鳥なんこつ天、鯛ちくわ、かにちくわ、たこちくわ、あなごちくわ、はもちくわなど。魚介等のオンパレードですね。

青木  瀬戸内海には美味しい魚介がたくさんありますので、お客様の声を聞きながらそれらを使った商品などを30種類くらい店頭でも並べています。

寺尾  スタッフといただいたのですが、みんな口をそろえて、どれも美味しいと言っています。

青木  ありがとうございます。
寺尾  青木蒲鉾店さんは創業から73年になりますが、味を受け継いでいくことと、お客様の声を取り入れ時代に合わせてチャレンジすること、それら両方を心がけていらっしゃるのですね。その上で、ご苦労されていることなどを教えてください。

青木  えびちくわは食べていただく年齢層がだんだん高くなって、若い世代では食べたことがない方やそもそも知らない方が多くなりました。そこで最近は地元の中学校などで、地元の味としてお話をさせていただいたり、学校給食に取り入れていただいたりして、若い世代の方にも食べていただくような工夫をしています。
寺尾  最後に、今後の目標などありましたらお話しください。

青木  会社のビジョンに「記憶に残る味」ということを掲げていますので、お客様が地元を思い出してくれたり、懐かしんでくれるような商品を作っていきたいと思っています。また、当社が今年の3月から販売している「ハモテイン」という瀬戸内海で獲れる鱧(はも)と、スケソウダラ、そして塩とでん粉のみで作った新商品があります。

寺尾  それはどういった商品ですか。

青木  愛媛県は鱧がたくさん獲れますが、地元ではあまり活用されていないようで、漁業関係者の方からいろいろお話をお聞きして商品開発をしました。その「ハモテイン」に使用する鱧を加工する際に出る皮や骨を現在は廃棄していますが、それらを利用して、新たな商品開発をして廃棄物を出さない取り組みをしていきたいと思っています。

寺尾  それも新しいチャレンジですね。

青木  伝統を守りながら新しいことにもチャレンジしていきたいです。

寺尾  今日のゲストは有限会社青木蒲鉾店 代表取締役社長の青木 真理さんでした。青木さん、ありがとうございました。