2025.05.28

【菊貞】10代続く老舗の窯元が「瓦」で作るコースター

四国を代表するいぶし瓦の産地・今治市菊間町の十代続く老舗の窯元 小泉製瓦有限会社 代表取締役 小泉信三さんに、製瓦技術を応用した工芸品づくりにかける思いやエピソードを語っていただきました。

2025年4月22日(火)放送 「『22_Ehime』モノ・がたり」より抜粋、編集
聞き手 南海放送ラジオ「Top Up」プレゼンター 百合田 彩

今回お話を聞いた方
小泉製瓦 有限会社 代表取締役
小泉 信三さん
Shinzo Koizumi
小泉製瓦有限会社は、5代目の小泉貞吉の時代からの屋号「菊貞」を販売ブランドとしてテーブルウエア、一輪挿し、置物といった工芸品を商品化するほか、市民ワークショップなども開催し、地域文化を体験する環境も提供している。
小泉製瓦有限会社は、5代目の小泉貞吉の時代からの屋号「菊貞」を販売ブランドとしてテーブルウエア、一輪挿し、置物といった工芸品を商品化するほか、市民ワークショップなども開催し、地域文化を体験する環境も提供している。
百合田  まずは小泉製瓦有限会社についてご紹介ください。

小泉  当社は今治市菊間町にある伝統工芸の菊間瓦を作っています。菊間瓦は民家をはじめ、道後温泉や松山城など数々の寺社仏閣の屋根に施工されています。1883年には皇居にも御用瓦として納められた実績のある瓦です。
当社は、創業から約300年、10代続く菊間でも真正の窯元です。また、5代目「小泉貞吉」の時代に「菊間の貞吉」という意味を込めて「菊貞」という屋号を名乗るようになり、現在に至っています。

百合田  国道196号を松山市から今治市方面に走っていくと、レトロで存在感のある白い看板が見えてきますよね。菊間瓦といえば屋根にふく屋根瓦のイメージが強いのですが、今は様々な商品があるそうですね。

小泉  本来、瓦は屋根に使っていただくものですが、昨今、一般住宅の瓦の需要が少なくなり、菊間で瓦を製造している会社は最盛期には60社ありましたが、今組合に加盟している窯元は8社になりました。
そのような中、菊間瓦が持つ日本古来のいぶし瓦の風合いを広く知ってもらうために、屋根瓦と同じ技術や製法を使って、工芸品やお皿など生活に身近なものを作って販売しています。
百合田  愛媛・菊間の文化を残しながら、実用性も兼ね備えた生活用品を製作されているということですが、22_Ehimeにはどのような商品を出品されていますか。

小泉  柄の異なる5種類の瓦のコースターをセットにして販売させていただいています。瓦には元来、10%の吸水率があり、水滴がついても吸収し空中に拡散させる性質があります。グラスを置く部分にはいぶしを載せず素焼きにすることで、更に吸水性を高めた機能性のあるコースターに仕上げています。

百合田  なるほど。今、手元に3種類のコースターがありますが、いずれも真ん中が白っぽくなっていますね。とても機能性の高いコースターですが、デザインも素敵です。これらの柄に意味などがあるのですか。

小泉  基本的に縁起の良い和柄を使っています。例えば、丸い柄がつながっている「七宝柄」ですが、これは「円満」や「調和」、「ご縁」などの願いが込められたものです。

百合田  なるほど。ところで、こちらのコースターは一見、重いのかなと思っていたのですが、持ってみたら軽いですね。

小泉  厚みが9ミリほどと薄いので、見た目よりは軽いと感じると思います。

百合田  この菊間瓦でコースターを商品化するにあたって苦労されたことなどはありますか。

小泉  薄い為、乾燥させるときに歪むので、歪む方向と反対に曲げて乾燥させるのですが、柄によってその歪み方が変わりますし、実際に焼いてみないとわからない点もあって、製作するのがとても難しい商品です。

百合田  それでも商品化させるとは、さすがプロですね。ほかに工夫した点はありますか。

小泉  グラスなどを置く真ん中の部分はぐらつかないようなデザインにしています。

百合田  いろいろ考えられているのですね。オンラインストア22_Ehimeでは、小泉製瓦さんから菊貞ブランドの瓦コースター5種が消費税、送料込み9,900円で販売中です。小泉さん、最後にリスナーの皆さんに向けてメッセージをお願いします。

小泉  菊間瓦は本来、屋根に使うものですが、表札やお部屋の壁のタイルなどの利用もありますので、愛媛の伝統工芸菊間瓦を住まいの様々な建材として活用していきたいと思います。
また工芸品として鬼瓦の顔が施された七輪や焚き火台などアウトドアに使えるような新商品もありますので、興味のある方は是非ともホームページを見ていただきたいと思います。

百合田  生活の質がグッと上がるような品々が見つかると思いますね。今日のゲストは、今治市菊間町の小泉製瓦「菊貞」の小泉信三さんでした。ありがとうございました。